老害の地位と生活を支えるために会社であくせく働くなんて、地球の若者はどうかしてるナノ。

働くってなんて理不尽なんだと思っていた若手時代

宇宙人
まずは経歴とか教えてよ。
M・I
1985年にCMプランナーとして入社したんですけど、当時は若手で実力も大して無いんで、基本的にはゴミみたいに扱われてました。しかもちょうど、本当に鬼みたいなエグさで社内でも有名な人が上司で、脚色なしにしんどかったですね。「来週までにまずメインコピー案を1000案持ってこい」とか言ってきて、やらないとマジでプロジェクトから外されるらしかったんで、必死に作って持っていくんですけど、1000案分の紙束をドンと会議の場でテーブルに置くと、その上司が右手でザーッとどけてテーブルから全部落とすわけですよ。で、「じゃ、こっから本気で100案考えて」って言うんです。1枚も見ずにですよ。働くってこんなに理不尽なんだなって半ば悟りの境地に達してました。そんなこんなで、海外の広告賞で金賞を獲ったり、競合代理店が手掛けてた大規模案件を奪取したりで、一応役員になれました。

ちょっと偉くなるたび、新しい景色が見えた

宇宙人
話の後半のスピード感にちょっと着いてけなかったんで、もうちょっと詳しく。
M・I
何というか、最初は「マジかよ」の連続なんですけど、後輩を持ったり、部下を持ったりと、人をマネジメントする側になっていくにつれて、先のヤバい上司の意図というか心理がちょっとずつ分かってきたんです。一つ気付くたび、不思議と仕事の成果にもつながって。先の1000案の話も、一見ただのパワハラですけど、あれって結局「フツーのアイデア」を排除するための方策だったりするんですよね。クリエイターがクリエイターとして食っていけるのは、普通の人が考えつかないグッドアイデアを産み出せるから。1000案&ザーッは、普通の人が考えつくアイデアを一通り出し切って、その上で「そうじゃないもの」をひねり出すフレームワークと考えれば、ある意味超合理的。彼のパワハラまがいの暴言と奇行は数え切れないほどでしたが、「部下を最大限活かし、ビジネスを成功させる」ということを普通の倫理観を取っ払って実行したら、実はあれも一つの方法だなと。クソオヤジと思っていたあの上司は、誰よりも真剣に仕事や部下と向き合っていたんだと思います。

明日死ぬかもしれないから、仕事がおもしろい

宇宙人
実際自分が「オッサン」と呼ばれる歳になってみて、ドウナノ?
M・I
先の上司が多分そうだったように、歳をとるほど、自分で言うのも何ですけど仕事に対する真剣度が増してる気がします。スティーブ・ジョブズの「毎日を人生最後の日だと思って生きろ」という名言じゃないですけど、明日死んでも後悔しないようなクオリティを出そうと本気で思います。
宇宙人
ほんとにそう思ってるナノ?ガンジーのそれとか、ジョブズの「毎日を人生最後の日だと思って生きろ」的な名言の受け売りでは?
M・I
だって私らオッサンは、明日糖尿病や痛風で動けなくなるかもしれないし、駅のホームでつまづいて死んじゃうかもしれない。「死ぬかも」みたいなことがわりと現実的な問題なわけです。だからある意味ナチュラルに死ぬ気でがんばれる。これはほんとに若い頃は気づかなかった。
宇宙人
働く50代って、ジョブズナノ!?
M・I
この歳になると守りたいものとか、しがらみとか、いっぱい出てくるんですけど、でもその分、明日死んでもおかしくない年齢になったからこそ、少しでも後悔のないいい仕事をしてやろうという勇気も湧いてきます。本当に大切なものって何だっけ、ってのを、純粋に追求したんくなる。だから今が一番楽しいですね。

人生のタイムリミットだったり自分の身体的な限界がチラつく50代の中には、実はそのことに腹をくくり、むしろバネにして、若者以上にバイタリティあふれる生き方の人がいて、グッと来たナノ。

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