大手広告代理店役員の本音:働く50代はジョブズ説。

若手社会人の敵、老害。奴らの地位と生活を支えるために会社であくせく働くなんて、地球の若者はどうかしてるナノ。とは言え奴らを攻略するためには、まずは敵のことを知らないとナノ!
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まずは経歴とか教えてナノ。

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某大手広告代理店 執行役員 M.I(47歳)

1985年にCMプランナーとして入社したんですけど、当時は若手で実力も大して無いんで、基本的にはゴミみたいに扱われてました。しかもちょうど、本当に鬼みたいなエグさで社内でも有名な人が上司で、脚色なしにしんどかったですね。「来週までにまずメインコピー案を1000案持ってこい」とか言ってきて、やらないとマジでプロジェクトから外されるらしかったんで、必死に作って持っていくんですけど、1000案分の紙束をドンと会議の場でテーブルに置くと、その上司が右手でザーッとどけてテーブルから全部落とすわけですよ。で、「じゃ、こっから本気で100案考えて」って言うんです。1枚も見ずにですよ。働くってこんなに理不尽なんだなって半ば悟りの境地に達してました。そんなこんなで、海外の広告賞で金賞を獲ったり、競合代理店が手掛けてた大規模案件を奪取したりで、一応役員になれました。

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話の後半のスピード感にちょっと着いてけなかったナノ!もうちょっと詳しく教えてナノ!

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某大手広告代理店 執行役員 M.I(47歳)

何というか、最初は「マジかよ」の連続なんですけど、後輩を持ったり、部下を持ったりと、人をマネジメントする側になっていくにつれて、先のヤバい上司の意図というか心理がちょっとずつ分かってきたんです。一つ気付くたび、不思議と仕事の成果にもつながって。先の1000案の話も、一見ただのパワハラですけど、あれって結局「フツーのアイデア」を排除するための方策だったりするんですよね。クリエイターがクリエイターとして食っていけるのは、普通の人が考えつかないグッドアイデアを産み出せるから。1000案&ザーッは、普通の人が考えつくアイデアを一通り出し切って、その上で「そうじゃないもの」をひねり出すフレームワークと考えれば、ある意味超合理的。彼のパワハラまがいの暴言と奇行は数え切れないほどでしたが、「部下を最大限活かし、ビジネスを成功させる」ということを普通の倫理観を取っ払って実行したら、実はあれも一つの方法だなと。クソオヤジと思っていたあの上司は、誰よりも真剣に仕事や部下と向き合っていたんだと思います。

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実際自分が「オッサン」と呼ばれる歳になってみて、ドウナノ?

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某大手広告代理店 執行役員 M.I(47歳)

先の上司が多分そうだったように、歳をとるほど、自分で言うのも何ですけど仕事に対する真剣度が増してる気がします。スティーブ・ジョブズの「毎日を人生最後の日だと思って生きろ」という名言じゃないですけど、明日死んでも後悔しないようなクオリティを出そうと本気で思います。

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ほんとにそう思ってるナノ?

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某大手広告代理店 執行役員 M.I(47歳)

だって私らオッサンは、明日糖尿病や痛風で動けなくなるかもしれないし、駅のホームでつまづいて死んじゃうかもしれない。「死ぬかも」みたいなことがわりと現実的な問題なわけです。だからある意味ナチュラルに死ぬ気でがんばれる。これはほんとに若い頃は気づかなかった。

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働く50代って、ジョブズナノ!?

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某大手広告代理店 執行役員 M.I(47歳)

この歳になると守りたいものとか、しがらみとか、いっぱい出てくるんですけど、でもその分、明日死んでもおかしくない年齢になったからこそ、少しでも後悔のないいい仕事をしてやろうという勇気も湧いてきます。本当に大切なものって何だっけ、ってのを、純粋に追求したくなる。だから今が一番楽しいですね。

調査結果|人生のタイムリミットや身体的な限界がチラつく50代の中には、実はそのことに腹をくくり、むしろバネにして、若者以上にバイタリティあふれる生き方を実践している人がいることが分かって、ちょっとグッと来たナノ!