大手インテリアメーカー部長に「夢見るな。」と言われ、イマドキ大学生、震える。

最近の若者ってなんだか出世に興味がなさそうナノ。出世をすると仕事を任されて大変だからナノ?本当のところドウナノドウナノ!!!宇宙人調査員 No.002ドウナノドウナノ裏話やぶっちゃけ話が大好物で、実際のトコロはどうなの?をグイグイ掘りたがる。
学生調査員 No.006

学生調査員 No.006

山中レイREI YAMANAKA

サカナクションをこよなく愛する大学院生。専門は言語学。“ことば”のおもしろさや、魅力を伝えるワークショップを開催したりしている。

学生調査員 No.007

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鱒渕イツキITSUKI MASUBUCHI

都内の大学生。就職活動を終え、モラトリアムの極致に達する。働くことに関しては比較的前向き。服と本と甘いものが好き。

―「最近の若者は…」そんな喝を入れられる覚悟で取材に臨んだ僕たちは、拍子抜けしてしまった。
「そんなに若い人がダメって言われます?全然ないですよ。ほんとに羨ましいです。」
その人は、部長なんて肩書きが似合わない明るい笑顔を見せながらそう言った。
長いキャリアを歩んできた部長だからこそわかること。
「点は、いつか線となって繋がる。」ということ。
僕たち私たちは、少し生き急いでいるのかもしれない。
やりたいことを探すあまり、今をなおざりにしてしまっているのではないだろうか。
仕事である以上、辛いことがある。つまらないことだってある。
でも、それがいつか自分のためになる。
大事なのは、そう信じること。
そう思えるか、それは自分で決めることなのだ。

レイレイ
今日は僕らの未知である『部長』として働くことについて、お話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします!

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)はい、よろしくお願いします!

イツキイツキ
早速なんですが、最近の若者って出世に興味がないっていう人が多いんです。『出世したい!』という人もいるのですが、全体でみると、出世に対する意欲は圧倒的に低いイメージがします。
レイレイ
そうなんです。そもそも僕たち学生からすると、出世したらどうなるのかっていうイメージができないので、出世したいとかしたくないという以前に、『出世するとどうなるんだろう?』というところがわからなかったりします。

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)なるほど。

イツキイツキ
学生の間では、責任が大きくなるとか、仕事の量が増えて大変そうとか、特にネガティブなイメージが蔓延してしまっているのではないかと思います。
レイレイ
ただ、部長だからこそ知れる、見える世界っていうのもあると思うんです。そこに『ハタラクのホンモノ』のヒントがあるんじゃないか、そう思って、今日は部長であるOさんから色々と話を伺っていければと考えています。

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)わかりました

イツキイツキ
改めて、よろしくお願いします!
レイレイ
よろしくお願いします!早速ですが、正直、部長の仕事って責任大きくて大変そうなイメージがあります…。部長ってズバリおもしろいんですか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)責任は重いです。それをプレッシャーとして感じることもあります。
でもその分、自分がやれることが広がるってのは間違いなくあります。責任とやりがいは表裏一体だなと思っていまして、そういう部分では、ポジションが高くなればなるほど自分のやりたい仕事がやれるというところはすごくあると思うんです。どんな仕事でも、簡単な仕事をやっている限りは絶対おもしろくない。ひたすらつまらないと思いますね。いや、ひたすらつまらないとまでは言わないとしても、ルーチンになると思います。最初は面白くても、いつの間にかマンネリ化してくる。仕事って大変なことが多いんですけれど、それを乗り越えた時にはじめて楽しくなるんですよね。責任あるポジションにつくと大変なことも多いですが、やっぱりその中で結果を出した時の喜びっていうのは裏返しになっていくから、すごく感じられると思いますね。責任感と仕事の面白さ、醍醐味は、本当に表裏一体だなと思います。

レイレイ
なるほど。責任感と仕事の面白さは比例するんだと。おもしろいです。ところで、部長って社内でもかなり偉い人ですよね。部長という肩書きを持つ前と後で、周囲からの見られ方に変化はありましたか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)すごくありました。おっしゃていただいた通りで、私としてはあまり職位にこだわるつもりもありませんし、できる限り楽しく仕事をしたいというのが一番なので、と思ってるんですけど、受け取る周りは、例えばギャグを言っても、今までは一緒になって笑ってくれてたのに、やっぱりちょっと違うというとこは出てきます。「何か困ったことがあったら相談してね。」っていうことで今まではやってきたんですけど、それがうまく回らない。部長だからって。どうしても若手のメンバーからすると壁を作ってしまうので、そこを、こちらから「報告してね、相談してね」とかいうんですけど、絶対にしてこないので、こちらから降りていく。こちらから壁を乗り越えていくということはやらなきゃいけないなと思っています。あとは、一緒に時間を過ごすっていうのがとても大事だと思います。一緒に仕事をするとか、お昼ご飯をいっしょに食べるとか。そのなかで何気ない会話をしたりっていうようなことでとにかく距離を詰める努力をしていますね。

ゴクッ
イツキイツキ
部長って奥まった椅子でドンと構えているイメージでしたが、部長は部長なりに、後輩に寄り添う努力をしてたんですね。。。
レイレイ
出世に興味ない人、僕の周りに多いんです。どちらかと言うと転職してキャリアを築いていく、というのが今の若者の一般的なキャリアプランな気がします。

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)やりたい仕事じゃないから転職しちゃうってのはちょっともったいないと思いますね。正直言って、転職して成功させようと思うと、相当なパワーが必要だと思います。転職すると、そのたびに周囲の人がガラッと変わってしまう。仕事って人と人との繋がりでできあがっていくだと思うんですね。これをまたイチから築き上げて5年後、10年後に成就させるってのもアリだとは思いますが、それなら今の会社で実現させた方がいいんじゃないかと、私は思いますね。

たしかに!!
レイレイ
転職でキャリアを築いていくっていうのは、それはそれで相当な苦労がありそうですね。ただ、会社入ってみて『やっぱり自分のやりたいことができなかった。』なんてこともあると思うんですが、それについてはどう思いますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)そうですね。もし、『自分はこれがやりたいんだ!』というものが明確にあれば、たとえ後輩が辞めると言っても、とめないと思います。僕はこれをやりたいんですということが見つかったのならすばらしいことじゃないですか。普段の仕事がマンネリ化してる人より、他社でこの仕事をやりたいんですという人がいれば、『いいじゃん、がんばりな』と言ってあげたいなという思いはあります。ただそう言った人ほど優秀な人が多いので、会社としては全力でとめにかかるんですけど(笑)。そういった話が出てきたときには、それが弊社でできないかということは一緒に考えてあげたいなと思っています。ポジションが上がらないと見えてこないことってたくさんあるわけですね。例えば新規事業の拡大。やっぱりかなりのセンシティブな情報なので、限られた部署の人間しか知らないわけです。これが部長になると見えてくる。でも若いメンバーはそれが見えていない。そういう話をして、やっていく。なので、辞めたいと言う後輩には、早まらないで慎重に考えてみてほしいと思います。

レイレイ
やりたい仕事や好きなこと実現させたい、というようなことを重視する学生が多いと言われたりもしています。長年仕事を続けてきた部長から見て、このような若者の考え方についてどう思いますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)やりたい仕事があるとか、好きなことを実現させたいっていう考えを持つことは、私はすごくいいと思うんです。ただ、社会に出る前の学生が抱く仕事観と、社会に出て実際に仕事してみてからの仕事観ってちょっと違う部分があると思いまして。実際に仕事をしてみると、やっぱり理想だけではうまくいかないこともあるんですね。そんなとき、『仕事を好きになる』っていう考え方が大事になってくると思います。目の前の仕事を好きになる。それまで経験したことは、いつか自分がやりたい仕事につながってきますから。これが20年以上同じ会社で勤めてきて、わかったことですね。

イツキイツキ
Oさん自身、葛藤を抱えたことはありますか?自分がしたいことが思うようにできないこと。辞めたいと思ったり、転職したいと思ったことはありますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)そうですね。実際私も3回くらいやめたいなと思うことあって。例えば、みなさんにもよくあることだと思うんですが、入社して2,3年目で辞めたいって思った時期がありました。隣の芝生が青く見えたといいますか。同級生が他社でこんな仕事をやっているっていうことを聞いて、自分はこんなことやってるのに同級生はあんなにすごい大きな仕事をしているみたいなところで、比較しちゃって、なんか嫌だなと思ったところがおおきかった。ほかにも家庭の事情で転職を考えたことがあります。

レイレイ
そういった葛藤は、特に入社後の若い人たちによくあることなんじゃないかと思います。部長になった今、そんな若い人たちになんて声をかけますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)今思えば、自分が今やっている仕事がつまらないというのは当たり前だ、と思うのがとても大事ですね。自分がやりたい仕事、目標としていたことが今やっていることで、それがつまらないならばそれもう転職考えるべきだとは思うんですけど。転職して新しい会社に入っても、いきなり自分がやりたかった仕事つけるなんてまずありえない。自分がやりたかった仕事はこれ、でも今やってることはこれ。これがつまらないからやめちゃうってのはすごくもったいない。そこはもうある程度我慢しながら、自分に言いきかせながらやっていくしかないかなとは思います。でもこの心境に至ったのは、自分もいろんな経験をしてきて、実は繋がるんだなという経験を自分がしたから。だからこれはもう若いメンバーには口で言ってもわかってもらえない部分だとは思うんです。だから信じるしかないなというのはすごく思いますね。

なるほど
イツキイツキ
最近の若い人たちと若手だった頃のご自身を比べてみて、何か思うところはありますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)最近の若い子は羨ましいと思ってます。僕らの時代には、堅実に目の前の仕事をこなして、仕事のスキルを身につけることが当たり前でした。身を粉にして働くって感じで(笑)。とにかく目の前のことをこなすってことに必死だったので、自分がしたいこととか、そういう将来のこと考える人ってあんまりいなかったと思いますね。

まさか
レイレイ
羨ましいなって思っているのはなんだか意外でした。では、今の若手にはこれが足りていないんじゃないかって部分はあったりしますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)そうですね。今の子たちはちょっと「地に足付いていないな」って思うことがあります。やりたいことがあるのはとてもいいことなんです。でも、それがゆえに「自分のやりたいことはこれなんです!」って感じで、「こんなことやってられない!」ってなりがちなところがありますね。
私なんかは「実は、この仕事やってるのはそこにつなげるためなんだよ」と言ってあげたいんですけどね。そこを生き急がないでほしいなと思います。将来こんなことをやりたいっていうビジョンを描けるのは、とてもいいことだと思うので。だからこそ、将来に向かって、地に足つけて、いま目の前にあることも頑張ってほしいと思います。

イツキイツキ
地に足つけて、目の前にあることを頑張るためのコツ。仕事を好きになる方法ってありますか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)僕がいつも新入社員に伝えるメッセージがありまして。それは『仕事は辛くて大変なもの。夢を見てはいけない。』というものです。楽しくてラクで面白かったら、わざわざお金払ってまでしてさせないでしょう。でも、そうは言っても、仕事に対してほんとにつまらないって思う人と、やってて楽しいって思う人の違いが出てくるんですね。その差が何かというと、仕事の中身じゃないんです。その人の気持ちの持ち方なんですよ。その気持ちの持ち方っていうのは、仕事に対して自分の意志を持つこと。若い頃は周りからあれやれこれやれって言われるんですが、もうそれはしょうがない。

レイレイ
気持ちの持ち方…。具体的に、どのように自分の意志を持てばいいんでしょうか?

icon1某大手インテリアメーカー 部長 I.O(40歳)若い頃にあれやれこれやれと周りから言われるとき、ただ黙々とやる人と、言われた課題の中で自分なりの課題を設定する人が出てきます。ここが差だと思いますね。例えば「先輩から、この仕事を5日間で終わらせなさい」って言われたとして、それをそのまま5日間でやる人と、4日で終わらせてやるって思って取り組む人では、たとえ成果が同じでも、後者は自分で達成感を感じることができたり、先輩から評価されたりする。
何も考えてない人が仕事つまらないって思ってしまうんです。こういう人が、今の仕事つまらないから他の会社行こうって転職しても、やっぱり結局何も変わらないんですよね。大事なのは、「仕事をいかに楽しむか」、「仕事を好きになる」ってことなんじゃないかなと思います。

調査結果|『仕事は辛くて大変なもの。夢を見てはいけない。』その言葉に2人は衝撃を受けたようナノ。自分らしく仕事をするなんて簡単なコトじゃないナノ。まずは目の前のやるべきコトをやる。キャリアを積んだ先にこそ、得られるモノがあるナノ!!!